戦況はじわじわと傾いた。疲労は誤魔化せない。反応が一拍遅れ、射線の読み違いが増える。連携していた隊の無線は途切れがちだ。仲間の一人が味気ない調子で「もう無理かもな」と呟いた時、それが冗談でないことを全員が感じた。ロボットの残存数も目に見えて減る。修復が追いつかず、補給の間隔が伸びる。遠隔で戦う利点は身体の安全だけだが、精神の耐久は持たない。俺は何度も自己診断を走らせ、意識の異常を否定したが、それでも視界は歪む。勝敗が決まれば人類の扱いは不明だという現実が、薄くない影となって横たわる。敗北の可能性は、口に出すには重すぎた。
