第一話:召集 — 目覚めは電波の中で
空はいつでも澄んでいる。車は羽を休めず、太陽は電波で街を満たす。記憶は複製され、旅は買える娯楽になった。そんな便利さに慣れた俺は、遠方の星との衝突に「戦闘員」として選ばれる。操縦席はない。意識を同期させれば俺は即座に鋼のロボットになる。最初の発進は、ゲームの夜を思い出させる手つきで、懐かしさが胸に走る。だが実際の戦いは違った。画面越しの世界に、自分の鼓動が重なる。相手は何のために攻めてくるのか。命令は淡々と来る。勝てば安心、負ければ不確かな未来が待つ──その厚い不安が、空気より重く沈んでいる。
