CAが犯人に引きずられ、操縦室のドアの前に立たされた。
「開けろ! 今すぐだ!」
ドアを叩く鈍い音が響く。
俺はただ震えながら見ていた。
その瞬間、乾いた銃声。
CAの体が崩れ落ちた。
悲鳴、嗚咽、混乱。誰かが吐いた。
銃口の煙が薄く揺れ、焦げた薬莢の匂いが鼻を刺す。
冷や汗が背中を伝い、頭の中が真っ白になる。
「死ぬのか……ここで?」
その言葉が脳内でこだまする。
窓の外では、太陽が静かに光っていた。
あまりにも平和で、現実とのギャップが狂気じみている。
犯人はまだ操縦室には入れていない。だが、時間の問題だ。
誰も立ち上がらない。
死の気配が機内全体に広がっていく。
隣の席の青年が小さく泣いているのが見えた。
俺は無意識に口を開いた。
「……このままじゃ全員死ぬぞ。」
心臓の鼓動が、死のカウントダウンのように鳴り続けていた。
