第6話 「闇の中の報酬」

掘り出した鞄を外に出し、土を払う。

静かな闇の中、ザッ、ザッという音だけがやけに響いた。

一通り土を落とし終え、鍵穴を覗く。中にも土が詰まっていたので、指で丁寧にかき出す。

鍵を差し込む。

カチリ。思ったよりもあっさり回った。

「……開いた」

ガチャという音とともに、蓋がゆっくりと持ち上がる。

中にはビニール袋に入った札束がぎっしりと詰まっていた。

一瞬で息が詰まる。

「……現金、か?」

スーツケースの中は、まるで地層のように積み上がった金の山。

「これ、いくらになるんだ……」

思わず辺りを見渡す。

虫の声、木の軋む音。人の気配はまったくない。

怖さよりも、先に湧いてきたのは“安心”だった。

ここには誰もいない。

誰も見ていない。

カバンを閉め、車へと戻る。

現金が敷き詰められたスーツケースは想像以上に重い。

ズリズリと引きずりながら来た道を戻った。

車に着くと、すぐにトランクに詰め込み、ドアを閉める。

心臓がまだ速く打っている。

エンジンをかけ、闇の道を抜けて走り出した。

しばらく走ると、少しだけ冷静さを取り戻した。

「……これ、どうする?」

ハンドルを握る手のひらが、汗でじっとりと濡れていた。

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