公園に着くと、予想通り子どもたちがいた。
ベンチの周りに集まり、お菓子を食べながら笑っている。
その匂いが、空腹の俺にはたまらなく刺激的だった。
問題は……どう声を出すかだ。
俺は猫の姿だが、言葉を話せるのか?
それとも鳴き声しか出ないのか?
試しに、思い切って言ってみた。
「おーい」
子どもたちがぴくっと反応して、こちらを見る。
……お? 聞こえてるのか?
もう一度、腹に力を入れて呼んでみた。
「おーい!」
すると一人の子どもと目が合った。
だが、その顔は“猫を見て微笑む顔”であり、
どうやら俺の声は「みゃー」とか「にゃー」とか、そんなふうに聞こえているらしい。
ちょっと安心しつつ、勇気を出して足を進めた。
近づいて、言ってみる。
「お菓子ちょーだい」
子どもたちは目を丸くし、興味津々で俺を見つめる。
何か感じ取ったのか、一人が優しく問いかけた。
「お腹すいてるの?」
ありがたい……。
「そうだよ」
そう答えたつもりだが、彼らには「にゃー」に聞こえているはずだ。
だが、その反応から察するに、なんとなく“気持ち”は伝わっているようだった。
再び聞かれる。
「ほんとにお腹すいてるの?」
「そうだよ、なにか欲しい」
俺の声に子どもたちは大喜びで、
「この猫、言葉が通じるぞ!」
と騒ぎ始めた。
そして持っていたお菓子をひとつ、ぽいっと投げてくれた。
すぐさま飛びついて食べる。
……うまい。
甘さが体に沁みわたる。
「もっと欲しい」
とお願いすると、また投げてくれた。
何度か繰り返し、腹が満たされていく。
空腹が和らぐにつれ、心も落ち着いてくる。
――人に声が届く。
猫としての最初の希望が、ほんの少し見えた気がした。
