第4話 飛び掛かる瞬間

犯人がトイレのドアを開けた。

その瞬間、時間が止まったように感じた。

俺たちは目で合図を送り、一斉に立ち上がる。

「今だっ!」

全員で飛び掛かった。

銃声が響く。頬をかすめる熱。

だが止まらない。

力自慢の男が後ろから羽交い締めにし、俺は渾身のボディブローを叩き込んだ。

鈍い音。犯人が呻き声を上げ、銃が転がる。

「押さえろ! 腕を!」

誰かが叫び、全員で抑え込む。

暴れる腕を捻じ伏せ、関節を決める。

骨の軋む音が聞こえた。

「うっ……あああ!」

叫び声が響き、やがて静寂が戻った。

機内は泣き声と嗚咽で満たされる。

俺は床にへたり込み、汗と涙で顔がぐちゃぐちゃだった。

CAが無線で操縦室に叫ぶ。

「犯人、確保!」

その瞬間、全員の体から一気に力が抜けた。

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